「押し売りみたいで気まずい」を卒業
トリートメントやシャンプーなどの店販、扱ってはいるけれど「今月はほとんど売れなかった」ということはありませんか。理由を聞くと、多くの美容師さんが同じことを言います。「押し売りみたいで気まずい」「断られたら気まずい」「そもそも声をかけるタイミングがつかめない」。
でも店販は、施術の技術力とは別に手取りを底上げできる、数少ない手段です。労働時間を増やさずに売上を足せる、という意味では、体力が資本の個人事業主にとって特に価値があります。この記事では、押し売り感を出さずに店販を伸ばす考え方を、声かけのタイミングから数字の見方まで順にまとめました。
雇われていた頃は、店販もお店の方針として「これを勧めてください」と決まっていて、ノルマこそ嫌でも、少なくとも何を売ればいいかは迷いませんでした。でも独立して業務委託や面貸しになると、扱う商品も、勧め方も、どのタイミングで声をかけるかも、ぜんぶ自分で決めて、ぜんぶ自分でやることになります。技術の練習をしながら、集客のSNSを更新しながら、カルテを書きながら、店販の在庫や声かけまで考えるのは、正直かなりの負担です。だからこそ「なんとなく置いてあるだけ」になりがちで、そのまま売上に結びつかない。ここを仕組みで軽くできれば、無理に売り込まなくても、自然に手に取ってもらえるようになります。
なぜ店販は後回しにされやすいのか
店販が苦手意識を持たれる理由は、だいたい共通しています。
- 断られるのが気まずくて、そもそも声をかけられない
- 施術の合間に店販の話をする"間"が見つからない
- 何を勧めればいいか、その場で考えて焦ってしまう
- 結局いつも同じ商品ばかり勧めて、お客様に響いていない気がする
- 店販の記録をつけていないので、伸びているのか減っているのかもわからない
この気まずさの正体は、多くの場合「売る」という意識そのものにあります。お客様からすると、髪や頭皮の悩みに対してプロが処方箋を出してくれているのと、ノルマのために勧められているのとでは、まったく受け取り方が違います。前者であれば、断る理由がありません。店販を伸ばす第一歩は、商品を売る発想をいったん脇に置き、「この人の悩みに、いちばん合うケアを渡す」という発想に変えることです。
押し売りにならない声かけの3ステップ
店販の声かけは、施術の会話と切り離さないことが最大のコツです。「最後に商品の話をする」のではなく、施術中の会話の延長線上に自然に置きます。
ここで大事なのは、毎回すべての商品を勧めないことです。悩みに合っていない商品を勧めると、それこそ「売り込まれている」と感じさせてしまいます。悩みが出てきたときだけ、その悩みに合う1〜2品に絞って伝える。数を絞るほうが、むしろ響きやすくなります。

扱う商品は「絞る」ほうがうまくいく
店販が伸びないもう一つの理由は、扱う商品が多すぎることです。棚にずらりと並んでいても、美容師自身が全部を語れなければ、お客様にも刺さりません。
| ありがちな状態 | おすすめの状態 |
|---|---|
| とりあえず色々な商品を置いている | 客層の悩みに合わせて数品に絞る |
| 成分やメーカーの説明を毎回調べ直す | 説明を自分の言葉で言えるものだけ扱う |
| 在庫を多めに抱えて資金が寝ている | 売れ筋を見ながら少量ずつ発注する |
| 全員に同じ商品を勧める | 悩み・髪質別に勧める商品を決めておく |
特にフリーランスや面貸しの場合、店販の仕入れは自分の持ち出しになることが多く、在庫を抱えすぎるのはリスクでもあります。「自分が自信を持って説明できる商品を、少数に絞って扱う」ほうが、結果的に説明もしやすく、売れ行きも安定します。メーカーのパンフレットを読み込んで、成分や対象の髪質を自分の言葉で言えるようにしておくと、声かけの説得力がぐっと上がります。
客単価をさらに伸ばしたい場合は、店販だけでなくメニュー構成の見直しも効果的です。あわせて客単価を上げる方法もご覧ください。
「店販率」という数字で振り返る
声かけを工夫しても、振り返る数字がなければ、うまくいっているのか判断できません。ここで見るべき指標が店販率——売上全体のうち、店販がどれだけ占めているかです。
店販は施術と違って、労働時間を増やさずに売上を積み増せる数少ない手段です。だからこそ「今月は店販がゼロだった」と気づけるだけでも、次の一声のきっかけになります。逆に、記録がなければ、店販が伸びているのか、たまたま売れただけなのかの区別すらつきません。日々の売上と一緒に、店販の有無・金額も記録しておく習慣をつけましょう。詳しい売上管理のやり方は美容師の売上管理のやり方にまとめています。
お客様ごとに提案を変えると、通り方が変わる
店販の提案がいちばん響くのは、その人の来店履歴・悩み・過去に買った商品を踏まえて提案したときです。毎回同じセリフで同じ商品を勧めるより、「前回パサつきが気になると仰っていたので」「以前買っていただいたトリートメントがそろそろなくなる頃かと」のように、個別の文脈があるだけで、受け取り方が変わります。
とはいえ、一人ひとりの購入履歴や悩みを毎回思い出すのは、お客様が増えるほど難しくなります。Salon Oneの顧客カルテには、お客様の髪質やお悩み、過去に購入した店販、来店ごとの記録が蓄積されていて、AIがその方の履歴を踏まえて次に提案すべきメニューや店販商品を提案してくれる機能があります。「なんとなく毎回同じものを勧めてしまう」状態から抜け出す助けになります。カルテの整え方については顧客カルテの管理方法もあわせてご覧ください。
以前は思いつきで店販を勧めていて、断られると気まずくて次から声をかけづらくなっていました。今はカルテを見返して「この人には前これが合っていた」と根拠を持って話せるので、断られることも減りましたし、何より自分が気まずさを感じなくなりました。— ひとりで頑張る美容師の実感
店販を「仕組み」として続けるために
店販が続かない一番の理由は、気合いに頼っているからです。忙しい日、疲れている日は、どうしても声かけが後回しになります。だからこそ、毎回考えなくても回る仕組みを作っておくことが大切です。
店販は、一度うまくいく型ができれば、あとはその型を繰り返すだけで安定して積み上がっていきます。最初のハードルは「売り込む」という思い込みを外すことです。悩みに合わせて、根拠を持って、少数の商品を、自然なタイミングで。この4つがそろえば、押し売りとは真逆の、感謝される店販ができるようになります。
- 店販は「売る」より「今日の施術を家でも続けられるようにする」という処方箋の発想に切り替える
- 声かけは施術中の会話の延長で。悩みを聞く→理由づけする→その場で決めさせず選択肢を渡す
- 扱う商品は絞る。自分が自信を持って説明できるものだけを、客層に合わせて少数厳選する
- 店販率(店販売上÷総売上)を毎月記録し、「先月より増えたか」を継続して見る
- 来店履歴・悩み・購入履歴を踏まえた個別提案は、通り方がまったく変わる
- カウンセリングの質問・会計の動線に組み込んで、気合いではなく仕組みで続ける
お客様ごとの提案を、AIが一緒に考える
Salon Oneの顧客カルテなら、来店履歴・お悩み・過去に購入した店販が自動で蓄積され、AIがそのお客様に合わせた次回メニューや店販の提案を作成します。売上入力からは店販率も自動計算されるので、伸びているかどうかもひと目で確認できます。
無料ではじめるよくある質問
Q. 店販の声かけがどうしても苦手です。どうすればいいですか?
「売る」ではなく「今日の施術の効果を家でも続けてもらう」という発想に変えるのがおすすめです。悩みに合う商品を1〜2品に絞って、根拠とともに伝えると、押し売り感がぐっと減ります。
Q. 扱う商品数はどのくらいが適切ですか?
決まった正解はありませんが、自分が自信を持って成分や効果を説明できる範囲に絞るのが基本です。多く並べるより、少数を深く語れるほうが売れ行きは安定しやすい傾向があります。
Q. 店販率の目安はありますか?
サロンの客層や業態によって大きく変わるため一概には言えません。大切なのは絶対値よりも「先月・前年より増えているか」を継続して確認することです。
Q. 在庫を持つのが不安です。仕入れはどう考えればいいですか?
特にフリーランスや面貸しの場合、仕入れが自己負担になることが多いため、最初は少量から試すのが安全です。売れ筋が見えてから徐々に増やす方が、資金を寝かせずに済みます。
Q. お客様ごとに提案を変えるのが大変です。何か楽になる方法はありますか?
カルテに悩みや購入履歴を記録しておくと、次回の提案がぐっと立てやすくなります。Salon OneのAI提案機能を使えば、履歴をもとにその方に合った提案を自動で考えてくれるので、毎回ゼロから考える負担が減ります。
Q. 店販の記録は確定申告にも関係しますか?
店販の仕入れは経費に、店販の売上は事業収入に関わります。日々の記録をつけておくと申告のときの集計もスムーズです。詳しくは経費の勘定科目一覧もご参照ください。判断に迷う場合は税理士など専門家にご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・仕様の詳細は各提供元や専門家の最新情報をご確認ください。