家族に給与を払うと得?青色事業専従者給与の注意点
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家族に給与を払うと得?青色事業専従者給与の注意点

配偶者や親、子どもに受付やSNS投稿、経理の手伝いをしてもらっている——そんなフリーランス美容師も少なくないはずです。青色申告をしている場合、家族に支払う給与を「青色事業専従者給与」として経費にできる制度があります。

うまく使えば節税につながる一方、要件を満たしていないと経費として認められないこともあります。この記事では、制度の仕組みと注意点を整理しました。

正しく理解して使えば、家族と協力しながら事業を続けていくための、心強い制度になります。

個人事業主の美容師がひとりで抱える仕事

ひとりで全部をこなすのが大変で、家族に少し手伝ってもらっている——そんな状況は珍しくありません。でも「家族に払ったお金を経費にできるらしい」と聞いても、具体的に何をすればいいのか、どこまでが認められるのか、調べるほどに複雑に感じてしまう人も多いはずです。

この記事では、専従者給与の基本的な考え方と、実務上つまずきやすいポイントを、順番に整理していきます。

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青色事業専従者給与とは

青色申告をしている個人事業主が、生計を共にする配偶者や親族に事業を手伝ってもらい、給与を支払った場合、一定の要件を満たせばその給与を全額、事業の経費にできる制度です。通常、家族への支払いは経費にできないのが原則ですが、青色申告の特典としてこの例外が認められています。

白色申告の場合配偶者86万円・その他親族50万円までの限定的な控除(事業専従者控除)
青色申告の場合労働の対価として適正な金額であれば、原則として上限なく経費にできる

青色申告の基本については青色申告のやり方もあわせてご覧ください。

特にフリーランス美容師の場合、配偶者に受付や電話対応、SNS投稿の下書き作成などを手伝ってもらっているケースは珍しくありません。そうした日々の協力を、きちんと制度上の形にできるのが、この専従者給与という仕組みです。

適用を受けるための3つの要件

専従者給与を経費にするには、主に次の要件を満たす必要があります。

1
青色申告者と生計を一にする配偶者・親族であること同居していなくても、生活費を共にしていれば対象になり得ます。
2
その年の12月31日時点で15歳以上であること年齢の要件があります。
3
年間6か月を超えて、もっぱらその事業に従事していること片手間の手伝い程度では対象になりにくい点に注意が必要です。
ポイント: 「もっぱら従事」という要件がある以上、他にフルタイムの仕事を持っている家族に、名目だけ給与を払うような使い方は認められません。実際にどれだけの時間・内容の業務をしてもらっているかを、説明できる状態にしておくことが大切です。

『生計を一にする』という言葉も、同居していなければ対象外だと誤解されがちですが、進学や単身赴任などで別居していても、生活費の仕送りなどで実質的に生計を共にしていれば該当することがあります。個別の判断が難しい場合は、税務署や税理士に確認しておきましょう。

適用を受けるための3つの要件

事前の届出が必須

専従者給与を経費にするには、「青色事業専従者給与に関する届出書」を、適用を受けたい年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した場合は、開業から2か月以内)に税務署へ提出しておく必要があります。

タイミング提出期限の目安
すでに事業を行っている場合適用を受けたい年の3月15日まで
その年の1月16日以後に新規開業した場合開業日から2か月以内

この届出書には、支払う給与の金額や仕事の内容をあらかじめ記載します。実際の支払額が届出内容と大きく異なると、後から指摘を受けることもあるため、金額は無理のない範囲で設定しておきましょう。

「適正な金額」をどう考えるか

専従者給与の金額に法律上の上限はありませんが、業務内容や労働時間に見合った「適正な金額」であることが前提です。同じような仕事を他人に頼んだ場合の相場と比べて、著しく高い金額を設定すると、税務署から指摘を受けるリスクがあります。

やりがちな失敗
  • 節税額を大きくしたいがために、実態に見合わない高額な給与を設定してしまう
  • 届出書を出した後、実際の勤務実態が乏しいまま給与だけ払い続けてしまう
  • 給与の支払いを口座振込ではなく現金で済ませ、記録が曖昧になる

受付・SNS投稿・経理補助など、具体的にどんな業務をどのくらいの時間行っているかを記録しておくと、金額の妥当性を説明しやすくなります。経費全般の考え方は業務委託・面貸し美容師の経費、迷いやすい項目と判断のしかたも参考にしてください。

配偶者控除・扶養控除との関係に注意

専従者給与を支払うと、その配偶者や親族は配偶者控除・扶養控除の対象から外れます。専従者給与で節税できる金額と、配偶者控除・扶養控除を使った場合の節税額を比べて、どちらが有利かを検討する必要があります。

専従者給与を選んだ場合配偶者控除等を選んだ場合
専従者本人の所得給与所得が発生する所得が少なければ扶養の範囲内
事業主側の控除配偶者控除・扶養控除は使えない専従者給与の経費計上はできない
ポイント: 専従者給与の金額を低く抑えすぎると、配偶者控除等が使えない分、かえって不利になることもあります。年間の見込み所得をもとに、どちらが有利かをシミュレーションしてから判断しましょう。

加えて、専従者給与を受け取る側にも所得税や住民税が発生する可能性がある点も忘れずに考慮してください。事業主側の節税効果だけを見るのではなく、世帯全体でのお金の流れを見て判断することが大切です。

手続きも記録も、後回しにしないために

専従者給与は、正しく使えば有効な節税手段になりますが、届出のタイミングを逃したり、実態と金額が見合っていなかったりすると、思わぬ形で否認されるリスクもあります。「家族に手伝ってもらっている」という日々の実感を、きちんと制度に落とし込むには、事前の届出と日々の記録がセットで必要になります。

今日からできること: まずは家族にお願いしている業務内容と、おおよその時間を書き出してみましょう。それをもとに、専従者給与の金額が妥当かどうか、配偶者控除等とどちらが有利かを、税理士や税務署に相談しながら検討することをおすすめします。

日々の業務記録を残しておくことは、専従者給与の妥当性を説明する材料になるだけでなく、事業全体の実態を振り返るきっかけにもなります。家族の協力を『なんとなくの手伝い』のままにせず、きちんと制度に落とし込むことは、長く事業を続けていくための土台づくりでもあります。

この記事のまとめ
  • 青色事業専従者給与は、青色申告者が家族に払う給与を全額経費にできる制度
  • 生計を一にする15歳以上の親族で、年間6か月超もっぱら従事していることが要件
  • 適用には事前の届出書提出が必須(原則3月15日まで、新規開業は2か月以内)
  • 給与額は業務内容・労働時間に見合った『適正な金額』であることが前提
  • 専従者給与を選ぶと配偶者控除・扶養控除は使えないため、有利不利を比較して判断する
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よくある質問

Q. 専従者給与の金額に上限はありますか?

法律上の上限はありませんが、業務内容や労働時間に見合った『適正な金額』であることが前提です。相場から著しく外れた高額な設定は指摘を受けるリスクがあります。

Q. 白色申告でも家族への給与を経費にできますか?

白色申告の場合は『事業専従者控除』という限定的な控除(配偶者86万円、その他親族50万円が上限の目安)にとどまり、青色申告のような全額経費化はできません。

Q. 届出を忘れて給与を払ってしまった場合はどうなりますか?

事前の届出が無いまま支払った給与は、専従者給与としての経費計上が認められません。翌年以降の適用に向けて、早めに届出書を提出しておきましょう。

Q. 配偶者控除と専従者給与、どちらが得か迷います

専従者給与の金額や配偶者の他の所得状況によって有利不利が変わるため、一概には言えません。年間の見込みをもとに、税理士に相談しながら比較することをおすすめします。

Q. 専従者給与を支払うと、社会保険はどうなりますか?

給与の金額によっては、配偶者や親族自身が社会保険上の扶養から外れ、自分で国民健康保険や国民年金に加入する必要が出てくることがあります。金額を決める際にあわせて確認しておきましょう。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・仕様の詳細は各提供元や専門家の最新情報をご確認ください。