中古のセット面・シャンプー台、買っても大丈夫?
開業資金をできるだけ抑えたいとき、選択肢に挙がりやすいのが中古のセット面・シャンプー台・シザーケースなどの設備です。新品に比べて費用を大きく抑えられる一方、状態の見極めを誤ると、開業後すぐに買い替えが必要になることもあります。
この記事では、中古設備を購入する前に確認しておきたいポイントと、会計上の扱いについて整理しました。
開業資金は、物件取得費や内装費だけでも大きな金額になります。少しでも初期費用を抑えたいと考えるのは自然なことで、実際に中古設備をうまく活用して開業した美容師も少なくありません。ただ、「安いから」という理由だけで選んでしまうと、後から想定外の修理費用がかかることもあります。
この記事は、中古設備を「使うべきでない」と言うためのものではなく、後悔しない選び方を一緒に整理するためのものです。
限られた資金をどう配分するかは、開業準備の中でも特に悩ましいテーマです。設備にかける費用を賢く抑えられれば、その分を集客や運転資金に回すこともできます。
中古設備、どこで手に入る?
美容室の設備は、主に次のようなルートで中古品を探すことができます。
| 入手ルート | 特徴 |
|---|---|
| 美容ディーラー・専門業者の中古品 | 整備・保証がついていることが多く、価格はやや高め |
| 閉店・移転するサロンからの譲渡 | 状態は様々。価格交渉の余地があることも |
| 個人間売買・ネットオークション | 価格は抑えられるが、状態確認は自己責任になりやすい |
入手ルートによって、状態確認のしやすさや、購入後のトラブル時の対応力が大きく変わります。特に個人間売買では、現物を見ないまま購入すると、届いてから状態の悪さに気づくこともあります。
閉店・移転するサロンからの譲渡は、価格と状態のバランスが良いことも多く、特に地域内のつながりがある場合は、良い情報が入りやすいルートでもあります。日頃から同業のつながりを持っておくことも、思わぬ形で役立つことがあります。
購入前に確認したい状態のチェックポイント
セット面・シャンプー台は、見た目以上に消耗している部分があります。購入前に、できるだけ次の点を確認しましょう。

「安さ」だけで選ぶと起きやすいこと
価格の安さだけで判断すると、次のような事態につながることがあります。
- 開業して数か月でシャンプー台の水漏れが発覚し、急な修理費用がかかった
- 椅子の油圧が抜けやすく、お客様の前で油圧調整に手間取ってしまう
- 搬入・設置費用が想定より高くつき、結局新品とあまり変わらない出費になった
特に、搬入・設置・配管工事にかかる費用は見落とされがちです。設備本体の価格が安くても、搬入経路の確認や既存配管との接続工事など、想定していなかった追加費用が発生することもあります。設置までのトータルコストで比較することが大切です。開業時の資金計画全体は開業資金、融資だけが方法じゃない?美容師のお金の集め方も参考にしてください。
会計上の扱い:減価償却の考え方
中古設備を購入した場合も、原則として新品と同じように資産計上・減価償却の対象になります。ただし、中古資産には「耐用年数の見積り」という新品とは異なる考え方があります。
| 区分 | 考え方 |
|---|---|
| 新品の設備 | 法定耐用年数に従って減価償却する |
| 中古の設備 | 残りの使用可能期間を見積もり、短縮された耐用年数で減価償却できる場合がある |
中古資産の耐用年数の見積もりには一定の計算方法があり、正しく適用すれば、新品より短い期間で経費化できることもあります。金額が大きい場合は、税理士に相談しながら処理することをおすすめします。少額の場合は、青色申告の30万円未満一括経費の特例が使えることもあります。詳しくは開業時の設備投資と減価償却で整理しています。
保証・アフターサポートの有無も確認する
個人間売買では、購入後に不具合が見つかっても、返品や修理対応をしてもらえないことがほとんどです。一方、美容ディーラーや専門業者経由の中古品であれば、一定期間の保証が付いていることもあります。
開業直後は、施術と並行して設備トラブルに対応する余裕が無いことも多いものです。価格差だけでなく、万が一のときにどれだけ自分で対応できるかも含めて検討しましょう。
特に、電気工事士や水道工事の資格を持つ知人がいない場合、不具合が起きたときに自分だけで対応するのは現実的ではありません。保証やアフターサポートの有無は、そうした『いざというとき頼れる先があるかどうか』を左右する重要な要素です。
「安く始める」と「長く使う」を両立させるために
中古設備の活用は、開業資金を抑える有効な手段のひとつです。ただし、状態確認を怠ると、かえって余計な出費や営業への支障につながることもあります。安さだけでなく、状態・設置コスト・保証の有無まで含めて総合的に判断することが、結果的に「安く、長く使える」開業につながります。
また、購入を決める前に、その設備がこれから何年使う予定なのかをイメージしておくことも大切です。短期間の利用を想定しているなら中古で十分ですが、長く使い続けたいのであれば、多少費用がかかっても状態の良いものを選ぶ方が、結果的に安く済むこともあります。焦って即決せず、複数の候補を比較する時間を確保することも忘れないでください。
- 中古設備は美容ディーラー・譲渡・個人間売買などで入手できるが、状態確認のしやすさが異なる
- シャンプー台の水漏れ、椅子の油圧、電源まわりは特に確認したいポイント
- 安さだけで選ぶと、搬入・設置・修理費用でトータルコストが割高になることがある
- 中古資産は耐用年数を見積もって減価償却でき、少額なら一括経費の特例も使える
- 保証・アフターサポートの有無も、購入後の安心感を左右する判断材料になる
よくある質問
Q. 中古のシャンプー台を買うとき、一番確認すべきことは何ですか?
水漏れや排水の詰まりなど、配管まわりの状態です。設置後に不具合が見つかると、追加の工事費用がかかることがあるため、可能であれば実際に水を流して確認しましょう。
Q. 中古設備も減価償却できますか?
できます。中古資産は残りの使用可能期間を見積もって、短縮された耐用年数で減価償却できる場合があります。少額であれば一括経費の特例も検討できます。
Q. 個人間売買で中古設備を買うのはリスクがありますか?
価格は抑えられますが、購入後の不具合に対する保証やサポートが無いことがほとんどです。現物確認をしっかり行い、リスクを理解した上で判断しましょう。
Q. 搬入・設置費用はどのくらい見ておけばいいですか?
設備の大きさや設置場所の状況によって幅がありますが、本体価格とは別に一定の費用がかかることを前提に見積もりましょう。複数の業者から見積もりを取って比較することをおすすめします。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・仕様の詳細は各提供元や専門家の最新情報をご確認ください。