そのチェア、なぜ一括で経費にならないの?
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そのチェア、なぜ一括で経費にならないの?

独立開業のタイミングでは、スタイリングチェア・シャンプー台・鏡・ミラー台など、まとまった金額の設備投資が一度に発生します。ところが確定申告のときに「今年払った金額を、そのまま今年の経費にできない」ことに気づいて戸惑う方は少なくありません。

この記事では、開業時の設備投資が経費になる仕組み「減価償却」について、業務委託・面貸しから独立して自分の店を持つ美容師向けに、分かりやすく整理します。

個人事業主の美容師がひとりで抱える仕事

チェア1台、シャンプー台1台に、数十万円かかることも珍しくありません。「今年これだけ払ったのだから、その分税金が軽くなるはず」と思っていたのに、確定申告ソフトに入力してみると今年の経費として反映される金額はごく一部だけ——そんな経験をした開業初年度の美容師は多いはずです。

仕組みを知らないまま「思ったより経費が少ない」と感じてしまうと、資金計画そのものが狂いかねません。減価償却は、正しく理解すれば決して難しい仕組みではありません。むしろ数年分の税負担を見通せるという意味で、資金計画の味方になってくれます。

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なぜ一括で経費にできないのか

消耗品のように使ったらすぐなくなるものと違い、チェアやシャンプー台のように何年も使い続ける高額なものは、税法上「減価償却資産」として扱われます。買った年に全額を経費にするのではなく、使用できる期間(耐用年数)に分けて、少しずつ経費にしていく仕組みです。

10万円以上原則、これ以上の資産は減価償却の対象になる
耐用年数で分割美容機器はおおむね5〜8年程度に分けて経費化される

「今年たくさん払ったのに、経費が少ない」と感じるのは、この仕組みのせいです。逆に言えば、開業初年度だけでなく、数年間にわたって毎年少しずつ経費にできるとも言えます。単年の損得ではなく、複数年で見る視点を持つことが大切です。

美容機器の耐用年数、目安を知っておく

減価償却の年数(法定耐用年数)は資産の種類ごとに国が定めています。美容業でよく使う設備は、おおむね次のような年数が目安です。

設備耐用年数の目安
理容・美容機器(チェア、シャンプー台など)5年
内装・造作(間仕切り、内装工事など)建物の構造による
パソコン4年
看板・広告用器具3年

同じ「設備投資」でも、種類によって経費化される年数がまったく違います。内装工事のように建物に組み込まれるものは、テナントの構造によって年数の考え方が変わるため、金額が大きい内装工事ほど、税理士など専門家に確認しておくと安心です。

美容機器の耐用年数、目安を知っておく

少額減価償却資産の特例|30万円未満なら一括も選べる

青色申告をしている個人事業主には、取得価額30万円未満の資産であれば、その年に一括で経費にできる特例があります(少額減価償却資産の特例)。年間合計300万円までという上限はありますが、開業時の細かい備品にはこの特例が使えるケースが多くあります。

1
買った設備の金額を確認する1台・1個あたりの取得価額(税込か税抜かは経理方式による)を確認します。
2
30万円未満かどうか確認する30万円未満であれば、特例の対象になる可能性があります。
3
青色申告をしているか確認するこの特例は青色申告者だけが使える制度です。
4
年間合計300万円以内か確認するこの特例で一括経費にできる金額には、年間の上限があります。

チェア本体は30万円を超えて減価償却が必要でも、ワゴンや小物収納、内装の細かい造作の一部などは30万円未満に収まることがあります。1点ずつ金額を確認しておくと、思いのほか経費にできる範囲が広がることもあります。

開業前に買ったものも、経費にできる

「開業日より前に買った設備は経費にできないのでは」と思われがちですが、開業準備のために使った費用は、開業費として経費にできます。開業前にまとめ買いしたチェアや備品も、対象になるケースがあります。

やりがちな失敗
  • 開業前の領収書を「関係ない」と思って捨ててしまった
  • いつ・何のために買ったか分からなくなり、開業費として計上できなかった
  • 減価償却の対象になる資産を、開業費として一括計上してしまい後で修正が必要になった

開業前の領収書は、「開業準備のために買った」と分かるようにメモを添えて保管しておくことが大切です。10万円以上の設備は減価償却、それ未満の細かい準備費用は開業費、というように区別して整理しておくと、確定申告のときに迷いません。

開業後の「修理」と「買い替え」、経費の扱いは違う

開業後にチェアやシャンプー台が壊れたとき、「直す(修理)」のか「新しくする(買い替え)」のかで、経費の扱いが変わります。単純な故障の修理は、その年に全額を経費(修繕費)にできるのが原則です。

混同しやすいポイント
  • 古いシャンプー台を修理したつもりが、性能を上げる部品交換だったため「資本的支出」と判断され、減価償却が必要だった
  • 修理費用と新品購入費用を、同じ感覚でまとめて一括経費にしてしまった
  • 数十万円規模の大掛かりな修理を、深く考えずに全額その年の経費にしてしまった

単なる原状回復のための修理は「修繕費」として一括経費にできますが、性能を向上させたり、使用可能な期間を延長させたりする支出は「資本的支出」として減価償却の対象になります。金額が大きい修理・改装をするときは、どちらに該当するか事前に確認しておくと安心です。

資金計画への活かし方

減価償却は、税金の計算だけでなく数年先までの資金計画を立てるための材料にもなります。今年・来年・再来年と、それぞれいくら経費になるかが事前に分かるからです。

ポイント: 減価償却が終わる年(経費にできる金額がゼロになる年)は、それまでより所得が増えて税負担も重くなりやすいタイミングです。次の設備投資や、税負担への備えを、その年に合わせて計画しておくと安心です。

Salon Oneの経費・確定申告画面に、買った設備の金額や時期を記録しておけば、こうした数年先の見通しを立てる材料としても活用できます。開業時の大きな出費を、単年の損得ではなく数年単位の計画として捉えてみてください。

この記事のまとめ
  • 10万円以上の設備は原則、耐用年数に応じて数年に分けて経費にする「減価償却」の対象になる
  • 美容機器の耐用年数はおおむね5年前後が目安だが、内装工事などは建物の構造によって変わる
  • 青色申告なら、30万円未満の資産は年間300万円まで一括で経費にできる特例がある
  • 開業前に買った設備・準備費用も、開業費として経費にできる場合がある
  • 減価償却の年数を把握しておくと、数年先までの税負担の見通しを立てやすくなる
  • 壊れた設備の修理は「修繕費」、性能を上げる交換は「資本的支出」と、経費の扱いが分かれる点にも注意する
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設備投資の記録も、経費画面でまとめて

開業時の設備投資は金額も種類もさまざまです。Salon Oneの経費・確定申告画面で記録しておけば、数年先の見通しも立てやすくなります。

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よくある質問

Q. 10万円未満の設備はどう扱えばいいですか?

取得価額が10万円未満のものは、原則としてその年に全額を経費にできます。減価償却の対象になるのは、原則10万円以上の資産です。

Q. 中古のチェアを買った場合も減価償却は必要ですか?

中古資産であっても、原則として減価償却の対象になります。ただし中古資産は新品と耐用年数の考え方が異なる場合があるため、金額が大きい場合は税理士に確認することをおすすめします。

Q. 分割払い・リースで導入した設備はどうなりますか?

ローンで購入した場合は所有権が自分にあるため、通常どおり減価償却の対象になります。リース契約の場合は「所有権移転リース」か「所有権移転外リース」かによって経理処理が異なるため、契約時に確認しておくと安心です。

Q. 少額減価償却資産の特例は毎年使えますか?

青色申告をしている限り、要件を満たす資産であれば毎年利用できます。ただし年間の合計取得価額が300万円までという上限があるため、大きな設備投資をする年は事前に確認しておくとよいでしょう。

Q. 開業前に買った設備の領収書はいつまで保管すればいいですか?

確定申告で経費として計上する以上、他の経費の領収書と同様に、原則7年間(青色申告で一定の要件に該当する場合)の保存が求められます。開業前の分もまとめて保管しておきましょう。減価償却が終わったあとの資産についても、廃棄・売却のタイミングまで記録を残しておくと安心です。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・仕様の詳細は各提供元や専門家の最新情報をご確認ください。