薬剤、気づいたら余らせていませんか?
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薬剤、気づいたら余らせていませんか?

カラー剤を多めに作りすぎて余らせてしまったり、使い切れずに期限が切れてしまったり——薬剤のロスは、一つひとつは小さくても、積み重なると意外と大きな金額になります。

この記事では、忙しい日々の中でも取り入れやすい、薬剤ロスを減らすための考え方と記録の残し方をまとめました。

個人事業主の美容師がひとりで抱える仕事

施術中はお客様への対応で頭がいっぱいで、薬剤の在庫や使用量まで細かく気にする余裕がない——それが正直なところだと思います。発注も、経験と勘に頼っている人が多いのではないでしょうか。この記事は、完璧な在庫管理を目指すものではなく、「なんとなく」を少しだけ「見える化」するための工夫を紹介します。

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薬剤ロスは、どこで発生しやすい?

薬剤のロスには、大きく分けて3つのパターンがあります。

薬剤ロスの主なパターン
  • 作りすぎ:カラー剤やパーマ液を多めに調合し、余った分を廃棄する
  • 期限切れ:あまり出番のない薬剤が、使われないまま期限を迎える
  • 在庫の重複発注:残量を把握しないまま発注し、同じ薬剤が過剰にたまる

いずれも「なんとなく多めに」「切らすと困るから多めに」という、悪気のない判断の積み重ねから生まれます。まずはどのパターンが自分のサロンで起きやすいかを、意識するところから始めましょう。

特に一人サロンや面貸しの場合、忙しい施術の合間に発注や在庫確認をするため、どうしても「時間があるときにまとめて」になりがちです。その結果、気づいたときには似たような薬剤が何本も棚に並んでいた、というケースも珍しくありません。

新しいメニューやトレンドの薬剤を試したくなる気持ちも、ロスの一因になりやすいポイントです。試供品や少量サイズから試すなど、一気に大容量を仕入れない工夫も、ロスを防ぐ小さな一歩になります。長く愛用している定番の薬剤と、季節限定で使う薬剤とでは、発注の考え方も変えておくとよいでしょう。定番品はまとめ買いで単価を下げつつ、季節品は必要な分だけ小まめに仕入れる、という使い分けが一つの目安になります。仕入れ先によってはロット単位でしか注文できない薬剤もあるため、その場合は同業の知人と分け合うなど、無理のない範囲で工夫している美容師もいるようです。小さな工夫の積み重ねが、長い目で見ると仕入れコスト全体の見直しにつながっていきます。今日からすぐに始められることばかりなので、まずは棚の中を眺めてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。使用期限が近いものがないか、重複している薬剤がないか、一度チェックしてみましょう。

ロスは経費と利益にどう影響する?

薬剤は仕入れた時点で経費(材料費)として計上できますが、使われずに廃棄された分も、すでに支払ったお金であることに変わりありません。つまりロスが多いほど、実質的な利益は圧迫されていきます。

仕入れ=支出使い切れなかった薬剤も、すでに支払い済みのお金
積み重ねが利益に直結一回あたりは少額でも、月単位・年単位では大きくなりやすい

客単価や売上ばかりに目が行きがちですが、仕入れの無駄を減らすことも、立派な利益改善です。特に薬剤原価は変動費の中でも大きな割合を占めやすいため、見直す価値があります。

たとえば、月の材料費が数万円単位でロスしていたとしても、日々の施術の中では気づきにくいものです。しかし1年間積み重なれば、決して小さくない金額になります。経費にできるものの一覧もあわせて確認し、材料費がどのように利益に影響するかを一度整理してみるとよいでしょう。

ロスは経費と利益にどう影響する?

ロスを減らすための、無理のない工夫

いきなり厳密な在庫管理システムを導入するのは大変です。専用のソフトを使わなくても、ノートやスマホのメモに「よく使う薬剤」「あまり出ない薬剤」を書き出すだけで、頭の中の感覚を可視化できます。まずは次のような、小さな工夫から始めるのがおすすめです。

1
よく使う薬剤・あまり出ない薬剤を分けて把握するメニューごとの使用頻度をなんとなくでも把握しておきます。
2
調合量を見直す髪の長さ・量に合わせた目安量を自分の中で決めておくと、作りすぎを防げます。
3
期限が近いものを先に使う(先入れ先出し)棚の並べ方を工夫するだけでも、期限切れを減らせます。
4
発注前に在庫を確認する「なんとなく発注」を減らし、残量を見てから決める習慣をつけます。

月ごとの薬剤費を記録して、変化に気づく

ロスを減らす一番の近道は、「毎月どれくらい薬剤費がかかっているか」を見える形にすることです。感覚だけで「多い気がする」「少ない気がする」と判断するより、数字で前月・前年と比べる方が、変化に気づきやすくなります。特に繁忙期と閑散期で薬剤費の使われ方が大きく変わるサロンでは、月ごとの記録があることで「この時期はこれくらいかかるものだ」という自分なりの相場観が育っていきます。

ポイント: 材料費(薬剤費)を経費として記録する際、月ごとの合計を見る習慣をつけると、「今月は多かったな」という感覚を数字で裏づけられます。売上に対する材料費の割合が急に増えていないか、たまに振り返ってみましょう。

美容師の経営分析で見るべき視点もあわせて確認すると、薬剤費以外の経費とのバランスも把握しやすくなります。

完璧を目指さなくていい

薬剤ロスをゼロにするのは、現実的には難しいことです。多少の余りやロスは、施術の質を保つための必要なコストでもあります。大切なのは、「なんとなく」を「なんとなく、でも数字は見ている」に変えること。それだけでも、無駄な発注や作りすぎに気づくきっかけになります。長く続けているうちに、自分のサロンなりの適正在庫量や、無駄が出やすいタイミングが見えてくるはずです。焦らず、少しずつ整えていきましょう。

もし面貸しでスタッフや同僚と薬剤を共有している場合は、記録のルールをある程度すり合わせておくと、あとで「誰がどれだけ使ったか分からない」という混乱を防げます。一人で運営している場合は、その必要がない分、記録のハードルはむしろ低いと言えるかもしれません。

季節・客層による使用量の変化も記録に残しておく

薬剤の使用量は、季節やお客様の客層によっても変わります。たとえば梅雨や夏場は縮毛矯正やパーマの需要が増えやすく、逆に冬場はカラーの持ちを気にするお客様が増えるなど、時期によって出番の多い薬剤が変わることも珍しくありません。

記録がないと起きがちなこと
  • 去年の同じ時期にどれくらい仕入れたか思い出せず、毎回勘で発注してしまう
  • 新規メニューを始めた月から薬剤費が増えたことに気づかず、原価計算が甘いまま値付けしてしまう

月ごとの薬剤費(材料費)の記録が残っていれば、「去年の今頃はこれくらいだった」という比較ができ、発注量の見通しも立てやすくなります。特に新しいメニューを追加したときは、原価がどれくらい増えたかを早めに把握しておくと、メニュー価格の見直しにも活かせます。メニューの原価計算の考え方もあわせてご覧ください。

この記事のまとめ
  • 薬剤ロスは「作りすぎ」「期限切れ」「重複発注」の3パターンで起きやすい
  • 使い切れなかった薬剤も支払い済みの経費であり、ロスは利益を圧迫する
  • 調合量の見直しや先入れ先出しなど、小さな工夫から始められる
  • 月ごとの薬剤費(材料費)を記録し、前月・前年と比べると変化に気づきやすい
  • 完璧な在庫管理を目指さず、まずは数字で振り返る習慣をつけることが大切
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よくある質問

Q. 薬剤の在庫管理は専用のシステムが必要ですか?

必須ではありません。まずは月ごとの薬剤費(材料費)の合計を記録し、前月・前年と比べるだけでも、ロスの傾向に気づきやすくなります。

Q. 調合量はどう決めればいいですか?

髪の長さや量によって目安量を自分の中で決めておくと、作りすぎを防ぎやすくなります。具体的な調合の判断は、施術の専門知識に基づいて行ってください。

Q. 薬剤費が売上に占める割合の目安はありますか?

サロンの業態やメニュー構成によって幅があるため、一概には言えません。まずは自分のサロンの過去の数字と比較し、急な変化がないかを確認することから始めるとよいでしょう。

Q. 余った薬剤はどう扱えばいいですか?

薬剤の保管期限や再利用の可否は、製品ごとの取り扱い説明に従ってください。この記事では経費・在庫管理の考え方を扱っており、薬剤そのものの安全性については販売元の案内をご確認ください。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・仕様の詳細は各提供元や専門家の最新情報をご確認ください。