所得税・住民税・事業税、違いを説明できますか?
確定申告を終えると、しばらくしてから「予定納税」「住民税決定通知書」「事業税の納付書」と、名前の違う書類が次々に届きます。「さっき申告したばかりなのに、また税金?」と戸惑った経験はありませんか。
この記事では、フリーランス・業務委託・面貸しの美容師が向き合う所得税・住民税・事業税の3つについて、それぞれ誰に払うのか、いつ・どうやって届くのか、いくらから発生するのかを整理します。仕組みを知っておけば、届いた書類に慌てなくなります。
サロンに雇われていた頃は、これらの税金はすべて給料から天引きされ、会社が代わりに計算・納付してくれていました。存在は知っていても、自分で仕組みを理解する必要はなかったはずです。
ところが独立すると、この3つの税金がバラバラのタイミングで、バラバラの金額で自分のところに届くようになります。しかも計算のもとになる「所得」は同じでも、税率も控除も納め先も違う。まとめて把握していないと、確定申告が終わった安心感の後に、思わぬ出費で慌てることになりかねません。
特に一人で経営していると、「今月は誰にいくら払えばいいのか」を確認できる相手が身近にいないことも多いはずです。仕組みを一度理解しておけば、届いた通知書を見て毎回不安になることもなくなります。
3つの税金、まず全体像をつかむ
確定申告のあとにやってくる税金は、大きく分けると3種類です。納める先も、決まり方も、それぞれ違います。
| 税金 | 納める先 | いつ分かる |
|---|---|---|
| 所得税 | 国(税務署) | 確定申告で自分で計算・納付 |
| 住民税 | 市区町村 | 確定申告の内容をもとに市区町村が計算し、通知が届く |
| 個人事業税 | 都道府県 | 一定の業種・所得を超えると都道府県が計算し、通知が届く |
所得税は確定申告書の中で自分で税額を計算して納めるのに対し、住民税と事業税は確定申告の情報をもとに、自治体側が計算して通知してくるという違いがあります。「自分で計算して払うもの」と「後から通知が来て払うもの」の2種類がある、とまず覚えておくと整理しやすくなります。届く時期も金額もバラバラだからこそ、最初に全体像を頭に入れておくことが、慌てないための一番の近道です。
所得税|確定申告で自分が計算する税金
所得税は、1年間の売上から経費・各種控除を差し引いた「課税所得」に対して、所得が高くなるほど税率も上がる(超過累進課税)仕組みの国税です。確定申告書に自分で計算して記入し、原則3月15日までに納付します。
青色申告特別控除(最大65万円)や、経費として計上できるものをきちんと積み上げておくことは、この所得税・そして後述する住民税の負担を軽くすることに直結します。「確定申告は面倒だから最低限でいい」と経費の記録を省略してしまうと、結果的に払わなくてよい税金まで払うことになりかねません。

住民税|申告した年の翌年に、分けて納める税金
住民税は、確定申告の内容をもとに市区町村が自動で計算し、6月頃に「住民税決定通知書」という形で納税額が届く仕組みです。自分で税額を計算する必要はありませんが、届いた金額を見て初めて負担の大きさに気づく人も少なくありません。
- 所得税の納税だけで確定申告は終わったと思い込み、翌年届いた住民税の金額に驚いた
- 住民税は一括だと思い込み、分割の納期限をうっかり過ぎてしまった
- 前年の所得をもとに計算されることを知らず、収入が減った年に前年分の高い住民税を請求されて資金繰りが苦しくなった
住民税は原則、普通徴収であれば年4回(6月・8月・10月・翌1月)に分けて納付します。前年の所得をもとに計算されるため、「今年は売上が落ちたのに、去年の分の住民税は変わらず高い」というタイムラグが起きやすい点は、資金繰りを考えるうえで必ず覚えておきたいポイントです。売上が好調だった翌年ほど住民税の負担が重くなる、という時間差があることを頭に入れておくだけでも、心構えはずいぶん変わります。
個人事業税|美容業は対象。ただし一定額までは非課税
個人事業税は、法律で定められた特定の業種(美容業を含む)の事業所得に対してかかる都道府県税です。すべての人にかかるわけではなく、事業所得から「事業主控除」290万円を差し引いた金額に対して税率(美容業はおおむね5%)がかかります。
事業所得が290万円以下の年であれば個人事業税はかからないため、独立して間もない時期は縁がないことも多い税金です。売上が伸びてきたタイミングで初めて届く税金、と覚えておくとよいでしょう。
3つまとめて、資金繰りにどう備えるか
3つの税金に共通して言えるのは、確定申告をした直後ではなく、数か月〜1年遅れてやってくるという点です。売上が良かった年ほど、翌年以降の税負担も重くなることを覚えておく必要があります。
Salon Oneの経費・確定申告画面では、入力した経費データをもとに所得税・住民税・事業税の概算と、納税のための積み立て目安を確認できます。3つの税金がバラバラに届く感覚を、まとめて把握できる感覚に変える一助として使ってみてください。毎月の売上入力に少し手を加えるだけで、税金への備えが「その都度慌てるもの」から「見通しを立てて準備するもの」に変わります。
- 所得税は自分で計算して申告時に納める国税、住民税・事業税は自治体側が計算して後から通知が届く税金
- 住民税は前年の所得をもとに計算され、年4回に分けて届くのが基本
- 個人事業税は事業所得290万円を超えた分にだけかかり、独立直後は対象外のことも多い
- 3つとも確定申告から数か月〜1年の時間差でやってくるため、申告直後に概算を出して先取りで備えておくと安心
- Salon Oneの確定申告画面では3つの税金の概算と積み立て目安をまとめて確認できる
よくある質問
Q. 住民税は確定申告とは別に申告が必要ですか?
個人事業主の場合、確定申告書を提出すればその内容が自治体に連携されるため、通常は住民税だけの別申告は不要です。ただし自治体によって取り扱いが異なる場合があるため、不明な点はお住まいの市区町村に確認すると安心です。
Q. 個人事業税は美容師なら必ずかかりますか?
美容業は個人事業税の対象業種ですが、事業所得が290万円(事業主控除)以下であれば課税されません。独立して間もない時期や、所得が控除額以下の年はかからないことが多い税金です。逆に売上が伸びて事業所得が290万円を超えると、その年から新たに対象になります。
Q. 住民税を一括で納めることはできますか?
普通徴収の場合、年4回の分割納付が基本ですが、第1期の納期限までにまとめて一括納付することも可能な自治体が多いです。詳しい方法は納税通知書に記載の自治体窓口に確認してください。
Q. 3つの税金の概算はどこで確認すればいいですか?
確定申告書の控えに記載された所得金額をもとに、税務署や自治体の窓口、税理士に確認する方法があります。Salon Oneの経費・確定申告画面でも、入力した経費データをもとにした概算を確認できます。
Q. 売上が去年より減った年でも住民税は下がりませんか?
住民税は前年の所得をもとに計算されるため、今年の売上が減っていても、前年分の住民税額はすぐには下がりません。翌年分の住民税に反映されるのは今年の所得なので、下がるとしても1年遅れになります。売上が変動しやすい方ほど、前年の税負担を見越した資金繰りが大切になります。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・仕様の詳細は各提供元や専門家の最新情報をご確認ください。