多機能なほど続かない
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多機能なほど続かない

「カルテアプリ おすすめ」で検索すると、26選、9選、7選——数を並べた比較記事がずらりと出てきます。ひととおり読んで、結局どれにするか決められずにタブを閉じた経験、ありませんか。

数が多くて決められないのは、あなたの優柔不断のせいではありません。比較記事のほとんどが「サロン(店舗)向け」の基準で書かれているからです。スタッフの権限管理、レジ連動、シフト管理——ひとりで働く美容師には要らない機能で優劣がついている表を見ても、判断できるはずがありません。

この記事では、ひとりで全部やる美容師が本当に見るべき基準を5つに絞ります。逆にいえば、それ以外は気にしなくていい、という話でもあります。読み終わるころには、候補が2つか3つまで自然に減っているはずです。

個人事業主の美容師がひとりで抱える仕事

カルテアプリを探すのって、たいてい「今すぐどうにかしたい」タイミングで始まりますよね。前回の薬剤を思い出せなくて焦った日とか、紙のカルテが見つからなくて謝った日とか。でも、そういう日ほど時間がない。閉店後にへとへとで比較記事を開いて、機能表を眺めて、「まあ今日じゃなくてもいいか」と閉じる——これが何度か繰り返される。すごくよく分かります。ひとりでやっていると、道具を選ぶ時間そのものが取れないんです。だからこの記事は、機能を網羅せずに「見なくていいもの」を先に切り捨てる書き方にしました。判断の回数を減らすのが、いちばん現実的な時短だと思うからです。

なぜ「おすすめ○選」を読んでも決められないのか

比較記事が役に立たない理由は、はっきりしています。評価の軸が、あなたの働き方と違うのです。

店舗(スタッフ複数)ひとりで働く美容師
重要な機能スタッフ別の売上集計、権限管理、シフトカルテ、来店サイクル、売上の把握
予約の入り方掲載サイト・電話・受付が中心LINE・DM・直接連絡が中心
導入を決める人オーナー(使う人と別)自分(使う人と同じ)
月額の感覚店舗の経費として按分自分の手取りから直接引かれる
やめるときの負担スタッフ全員の再教育自分だけ。ただしデータ移行は自力

この差が効いてくるのが月額の重みです。店舗なら月5,000円は「スタッフ1人あたり数百円」ですが、ひとりならまるごと自分の手取りから引かれます。年間で6万円。この金額を回収できるかどうかが、選ぶときの前提になります。

こんな選び方をしていませんか
  • 機能表の「◯」の数が多いものを選ぼうとしている
  • 今は使わない機能(レジ連動・スタッフ管理)まで比べている
  • 無料期間だけ試して、実際のお客様データを入れずに判断している
  • 「有名だから」「レビュー数が多いから」で決めようとしている

とくに最後の「無料期間に本気で使わない」は、いちばんもったいないパターンです。カルテアプリの良し悪しは、実際のお客様を10人ほど登録して、2回目の来店で開いてみないと分かりません。空のアプリを触っても、使い勝手は判断できないのです。

基準①|2回目の来店で、3秒以内に前回が出るか

これがいちばん大事です。カルテアプリの本当の仕事は「記録すること」ではなく、「思い出すこと」だからです。

ポイント: お客様がシャンプー台から鏡の前に戻ってくるまでの間に、前回の薬剤・仕上がり・会話の内容が出てくるか。ここで手間取るアプリは、どんなに機能が多くても続きません。

試すときは、こう確認してください。実際のお客様を5〜10人登録し、翌日以降に「名前をうろ覚えの状態で」探してみる。名字の一部だけ、あるいは「先週の金曜に来た人」という記憶しかない状態です。現場ではこれが普通に起きます。

1
名前の一部で検索できるかフルネームを正確に打たないと出てこないアプリは、現場では使えない。
2
来店日から探せるか「先週来た人」から辿れると、名前が出てこないときに救われる。
3
開いた1画面目に前回の内容があるかタブを切り替えないと薬剤が見えない作りだと、施術中には開かなくなる。

写真も同じです。撮れるかどうかではなく、「前回と並べて見られるか」。Before/Afterの比較ができないと、色の入り方の変化を追えません。カルテに何を書けばいいかは別記事でまとめていますが、書く内容が決まっていても、出すのが遅ければ意味がないのです。

最初に入れたアプリは、項目が細かくて「ちゃんと書けるアプリ」でした。でも入力に3分かかるので、忙しい日ほど書かなくなって、半年で空欄だらけに。今は項目が少ないアプリに変えて、代わりに全員ぶん埋まっています。書ける量より、書き切れる量で選べばよかったと思っています。
— ひとりで頑張る美容師の実感
基準①|2回目の来店で、3秒以内に前回が出るか

基準②〜③|スマホだけで完結するか/月額を回収できるか

② タブレットやパソコンが必要ないか

比較記事に出てくるアプリには、タブレット前提のものが少なくありません。店舗なら受付に置けますが、面貸しやシェアサロンでは自分の荷物が増えます。移動の多い働き方なら、スマホだけで完結するかを必ず確認してください。

あわせて、オフラインで開けるかも見ておくと安心です。地下の店舗や電波の弱い場所では、通信が切れた瞬間にカルテが見えなくなるアプリもあります。

③ 月額を回収できる見込みがあるか

月額が手取りから直接引かれる以上、「何で元を取るか」を先に決めておくべきです。回収の道筋は、だいたい次の3つに分かれます。

1人月額5,000円のアプリなら、失客を月1人防げれば元が取れる計算(客単価5,000円想定)
2時間カルテ探し・売上集計・確定申告の手間が月にこれだけ減れば、時給換算で見合うことが多い
年6万円月5,000円の年間負担。経費にはなるが、手元から出ていくのは事実

ここで大事なのは、「便利そう」で契約しないことです。失客を減らすのか、時間を減らすのか、確定申告を楽にするのか。目的を1つに絞ってから選ぶと、機能表を見る目が変わります。目的が決まっていない状態で比較表を眺めるから、いつまでも決まらないのです。

ポイント: 無料プランがあるアプリなら、まず無料で始めて「自分が続けられるか」だけを確かめるのが安全です。続かない道具にお金を払うのが、いちばんもったいない。

基準④〜⑤|データを持ち出せるか/ひとつで足りるか

④ やめるときにデータを持ち出せるか

見落とされがちですが、ここが最大のリスクです。カルテは何年もかけて貯まる資産で、移せなければ実質的に人質になります

乗り換えのときに起きること
  • 顧客名と電話番号は出せるが、施術履歴は出せない
  • CSVは出せるが、写真は1枚ずつ手で保存するしかない
  • 解約するとすぐ閲覧できなくなり、確認しながらの移行ができない
  • そもそも書き出し機能が案内されていない

契約前に、ヘルプページで「エクスポート」「データの書き出し」を検索してください。説明が見つからないなら、問い合わせて確認する価値があります。書き出せるアプリを選んでおけば、合わなかったときに引き返せます。この安心があるかどうかで、導入のハードルはまったく変わります。

⑤ 「これ1つ」で足りるか、増えていくか

ひとりで働いていると、道具は放っておくと増えます。カルテはアプリ、売上はスプレッドシート、経費はレシートの箱、SNSの投稿はメモ帳、予約はLINEのトーク——バラバラの場所に散ると、月末と確定申告のたびに集める作業が発生します

やることバラバラの場合まとまっている場合
月末の売上集計アプリとレジと通帳を突き合わせる入力済みの数字を見るだけ
確定申告の準備1年分をゼロから集める記録済みのものを書き出す
お客様への追客誰が離れかけているか分からない来店サイクルから自動で分かる

もちろん、最初から全部まとめる必要はありません。ただ「あとで足せるか」だけは見ておくと、乗り換えを繰り返さずに済みます。売上管理のやり方確定申告まで見据えて選ぶと、結果的に道具の数が減ります。

5つの基準で、こう絞り込む

ここまでの5つを、実際に使う順番にまとめます。上から順に確認して、引っかかった時点で候補から外していけば、比較表を眺め続ける時間はいりません。

1
スマホだけで完結するかタブレット必須なら、移動の多い働き方では外す。
2
データを書き出せるかヘルプに書き出しの説明が無ければ外す。合わなかったとき引き返せない。
3
実際のお客様を10人入れて、2回目に3秒で開けるかここが本番。空のアプリでは分からない。
4
月額を何で回収するか言えるか「失客を月1人減らす」など、目的を1つ決める。
5
売上・経費まで足せるか道具が増え続けない見込みがあるか。

この順番に意味があります。1と2は契約前に、調べるだけで分かること。ここで候補は半分以下に減ります。残ったものだけ、3の「実際に使ってみる」に進めばいい。全部のアプリを試そうとするから、いつまでも終わらないのです。

ポイント: 迷ったら「無料で始められて、書き出せるもの」から試すのが最も損が小さい選択です。合わなければ抜ければいいだけで、失うものがありません。

最後にひとつ。完璧なアプリを探すより、今日から記録が貯まりはじめることのほうが価値があります。1年後に「去年の同じ時期に何をしたか」を見られる人と、まだ探している人とでは、提案できる内容がまるで変わります。カルテは早く始めた人ほど得をする、時間が味方する数少ない道具です。

この記事のまとめ
  • 「おすすめ○選」で決められないのは、店舗向けの基準で優劣がついているから。ひとりで働く人には要らない機能で比べても判断できない。
  • 最重要は「2回目の来店で3秒以内に前回が出るか」。記録することではなく、思い出すことがカルテの仕事。
  • 月額は手取りから直接引かれる。「失客を月1人防ぐ」など回収の道筋を1つ決めてから選ぶ。
  • データを書き出せるかは契約前に必ず確認。書き出せないと、合わなかったときに引き返せない。
  • 確認は「調べれば分かること(スマホ完結・書き出し)」→「実際に使うこと(検索の速さ)」の順。全部を試そうとするから終わらない。
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Salon Oneは無料プランから顧客カルテを使えます。スマホだけで完結し、薬剤履歴・来店ごとの写真・お悩み・来店サイクルを記録して、名前の一部からすぐ呼び出せます。売上管理・経費管理・確定申告サポートまで同じアプリの中にあるので、あとから道具が増えていきません。まずは指名のお客様を10人ほど登録して、次のご来店のときに開いてみてください。

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よくある質問

Q. 紙のカルテからアプリに移すとき、過去のぶんは全部入力し直しですか?

全部を一度に入れ直す必要はありません。現実的なのは「次に来店された方から順に登録していく」やり方です。3か月も経てば、よく来られる方はひととおり登録が済みます。過去の紙は当面そのまま保管し、必要になったときだけ参照すれば十分です。一気にやろうとすると休みが潰れて、たいてい途中で止まります。

Q. 無料のアプリと有料のアプリ、何が違いますか?

一般的には、記録できる件数・写真の保存枚数・売上や分析などの周辺機能に差があることが多いです。ただ「無料だから使えない」わけではなく、ひとりで働く規模なら無料の範囲で足りることも珍しくありません。おすすめは、まず無料で始めて自分が続けられるかを確かめ、手狭になった時点で有料を検討する順番です。続かない道具にお金を払うのがいちばん損なので、順番を逆にしないことが大切です。

Q. LINEでやりとりしているので、トーク履歴で足りている気がします。

お客様が増えるまでは足ります。ただトーク履歴は「探しにくい」「薬剤などの情報が会話に埋もれる」「機種変更で消えるリスクがある」という弱点があります。とくに困るのが、しばらく来ていない方を見つけられないことです。カルテがあると来店サイクルから離れかけている方が分かるので、お客様が離れる理由と離反防止策のような対策が打てるようになります。

Q. 面貸し先を変えたら、カルテはどうなりますか?

自分のアプリに自分で記録しているぶんは、基本的にそのまま持っていけます。逆に、サロン側のシステムに入力していたカルテは、契約上サロンの資産とされていることが多く、持ち出せないのが一般的です。移籍の可能性が少しでもあるなら、早い段階から自分の手元にも記録を残しておくのが現実的な備えになります。契約書の顧客情報に関する条項は必ず確認してください。

Q. アプリに顧客情報を入れるのは、セキュリティ面で不安です。

不安に感じるのは自然なことです。確認したいのは「ログインにパスワード以外の保護があるか」「端末を紛失したときに他人に見られないか」「提供元がどこにあるサービスか」の3点です。紙のカルテも、置き忘れや持ち出しのリスクという意味では同じです。むしろ端末ロックのかかるアプリのほうが安全な場面もあります。詳しくはお客様情報の守り方をご覧ください。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・仕様の詳細は各提供元や専門家の最新情報をご確認ください。