今月、あと何人来てくれれば黒字か。すぐ答えられますか?
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今月、あと何人来てくれれば黒字か。すぐ答えられますか?

「今月は忙しかったのに、なぜか手元にお金が残らない」——そんな月、ありませんか。逆に「そこまで混んでいなかったのに、意外と余裕があった」という月もあるはずです。この差を生んでいるのが損益分岐点、つまり「あと何人来店すれば、その月は黒字になるか」というラインです。

むずかしい会計の話ではありません。電卓ひとつ、紙とペンだけでできる計算です。この記事では、固定費と変動費の分け方から、実際に「あと何人で黒字か」を出す手順までを順番にたどります。

個人事業主の美容師がひとりで抱える仕事

業務委託で働いていたころ、月末になると「今月は大丈夫だったのか」を、なんとなくの感覚だけで判断していました。予約表の埋まり方を見て「まあまあだったかな」というくらいで、数字で「あと何人」と言えたことは一度もありません。集客もSNSも予約対応もカルテ記入も自分でやっていると、正直そこまで手が回らないんです。

でも、ここだけ押さえておくと、忙しさと売上のズレに振り回されにくくなります。感覚ではなく、数字で「今月の着地」が見える状態を作るのが、この記事のゴールです。

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損益分岐点とは、「がんばり」と「利益」が分かれる境目

損益分岐点とは、売上と経費(固定費+変動費)がちょうど同じになる売上・客数のラインのことです。このラインを超えて初めて利益(黒字)が出て、下回ると赤字になります。

こんな感覚、ありませんか
  • 「今月は予約が埋まっていたはずなのに、思ったより残らなかった」
  • 「暇だった月のほうが、なぜか手元に余裕があった」

この違和感の正体は、「客数」だけを見て「利益」を見ていないことにあります。忙しさと儲けは、必ずしも比例しません。何人来たら赤字で、何人来たら黒字なのか——このラインさえ分かれば、毎月の数字が「なんとなく」ではなく「あと◯人」という具体的な目標に変わります。

固定費と変動費を分けて洗い出す

計算の第一歩は、毎月の支出を「固定費」「変動費」に分けることです。

固定費変動費
意味お客様が0人でもかかる費用お客様の人数に応じて増減する費用
具体例面貸し料・席貸し料、通信費、サブスクツールの月額、保険料薬剤・カラー剤などの材料費、消耗品
ポイント毎月ほぼ同じ金額施術1件あたりの金額 × 客数

面貸しや業務委託で働いている場合、面貸し料は多くのケースで固定費、材料費は変動費に分類できます。まずは通帳やレシートを見ながら、「これは客数に関係なくかかるお金か」で仕分けしていくのが一番早い方法です。固定費の見直し方も、あわせて見ておくと洗い出しがスムーズになります。

固定費と変動費を分けて洗い出す

客単価から「あと何人」を逆算する

固定費・変動費が分かったら、いよいよ「あと何人」を出します。考え方はシンプルです。

1
「客単価−1件あたりの変動費」を出すこれが、お客様1人ぶんで手元に残る金額(限界利益)です。
2
固定費を、その金額で割る「固定費 ÷ 1人あたりの限界利益」が、その月の損益分岐点となる客数です。
3
今月すでに来た人数と比べる差し引きで「あと何人来れば黒字か」がそのまま出ます。

例で見てみましょう。客単価8,000円、1件あたりの材料費(変動費)が800円、月の固定費が15万円だったとします。

7,200円1人あたりの限界利益(8,000円−800円)
約21人損益分岐点となる客数(15万円÷7,200円)

この例なら、月に約21人来店してもらえれば、その月の固定費と変動費をまかなえる計算になります。22人目以降が、はじめて利益として手元に残る計算です。客単価を上げる工夫を先に読んでおくと、この「1人あたりの限界利益」を底上げする発想にもつながります。

忙しいのに残らない、を防ぐ2つの視点

損益分岐点が見えると、「忙しいのに儲からない」を防ぐ打ち手も見えてきます。方向はシンプルに2つです。

視点①:客数を増やす前に、単価を見直す 客単価が上がれば、1人あたりの限界利益も上がり、損益分岐点となる客数は下がります。無理に新規を増やすより先に、既存メニューの見直しで届く場合もあります。
視点②:固定費そのものを見直す 使っていないサブスクツール、割高な面貸し料など、固定費を下げられれば、必要な客数のラインも一緒に下がります。

「客数を増やす」はいちばん体力を使う方法です。まずは①②で損益分岐点自体を下げられないか、先に確認しておくのがおすすめです。

毎月この数字を「感覚」に戻さないために

ここまでの計算、正直に言うと「今月だけ」やって満足しがちです。翌月になると忙しさに追われて、また感覚に戻ってしまう——というのはよくある話です。

固定費は月によって大きくは変わらないので、一度計算しておけば、あとは「今月あと何人」を毎月見返すだけで済みます。日々の売上と客数さえ記録できていれば、月の途中でも「このペースなら黒字ライン到達は何日ごろ」というのが見えるようになります。

今日からできること: 完璧な会計ソフトを用意しなくても大丈夫です。まずは今月の固定費を1回だけ紙に書き出し、客単価と照らして「損益分岐点は何人か」を出してみてください。それだけで、来月からの見え方が変わります。

もう一つ意識したいのは、月の途中で早めに気づくことです。月末に集計してから「今月は届かなかった」と分かっても、もう打てる手はありません。月の半ばで「このペースだと何人届かなそうか」が分かれば、残りの営業日で単価の高いメニューを勧める、リマインドを増やすなど、小さな軌道修正がまだ間に合います。

500円の値上げが、損益分岐点をどれだけ動かすか

「値上げは怖い」と感じる方も多いはずですが、実際どれくらいインパクトがあるのか、先ほどの例で試算してみます。客単価8,000円から500円だけ上げて8,500円にした場合を見てみましょう。

値上げ前500円値上げ後
客単価8,000円8,500円
1人あたりの限界利益7,200円7,700円
損益分岐点となる客数約21人約20人

たった500円の値上げでも、損益分岐点は1人分下がります。人数にすると小さく見えても、同じ客数のまま利益だけが積み上がるという効果があります。「客数を増やす」より先に「単価を少し見直す」ほうが、体力的な負担が少なく済むことがある、という一例です。値上げの伝え方に不安がある方は値上げの伝え方も参考にしてください。

この記事のまとめ
  • 損益分岐点=売上と経費(固定費+変動費)が同額になる客数のライン。これを超えて初めて黒字
  • 支出は「客数に関係なくかかる固定費」と「客数に応じて増える変動費」に分けて洗い出す
  • 「(客単価−1件あたりの変動費)=1人あたりの限界利益」「固定費÷限界利益=損益分岐点の客数」で計算できる
  • 客数を増やす前に、単価の見直し・固定費の見直しで損益分岐点自体を下げる手もある
  • 一度計算しておけば、毎月は日々の売上・客数の記録だけで「あと何人」が見える
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Salon Oneでは、日々の売上・客数を記録しながら、月の着地予測や客単価の推移を確認できます。損益分岐点そのものの計算は電卓や紙でも十分ですが、その後の「今月のペース確認」を仕組みに任せることができます。

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よくある質問

Q. 損益分岐点の計算は、毎月やり直す必要がありますか?

固定費は月によって大きく変わらないことが多いので、一度計算しておけば、翌月以降は客単価や固定費に大きな変動があったときだけ見直せば十分です。日々の記録さえ続けていれば、あとは照らし合わせるだけで済みます。

Q. 面貸し料は固定費と変動費、どちらに入りますか?

多くの場合、面貸し料は客数に関わらず毎月同じ金額がかかるため固定費に分類できます。ただし歩合制の契約になっている場合は、客数や売上に応じて変わるため変動費として扱うのが実態に近くなります。

Q. 変動費に入れ忘れやすいものはありますか?

薬剤・カラー剤などの材料費は分かりやすいのですが、施術で使う消耗品(コットン、ラップ、使い捨てクロスなど)は意外と抜け落ちがちです。細かくても、客数に比例して増えるものは変動費として拾っておきましょう。

Q. 客単価を上げるのが難しい場合、他に打てる手はありますか?

固定費の見直しが有効です。使っていないサブスクツールの解約、面貸し料や賃料の交渉、通信費のプラン見直しなど、客数に関係ない支出を減らせれば、そのぶん損益分岐点となる客数も下がります。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度・料金・仕様の詳細は各提供元や専門家の最新情報をご確認ください。